はりは、どんなものなのかな? 試してみたいとは思うけれど、電話をかける勇気はなかなかないし・・・ やっぱり「はり」だから、痛いのを我慢するんだろうね。 自分の症状は、治療で効果が期待できるかな? それに、体内ではどんな反応が起こっているのだろう。 日ごろ、患者さんの多くの方が疑問に思っていらっしゃると思われる事に、出来るだけわかりやすくお答えしたいと思います。


目次

はりは3000年の歴史

鍼科学は実証科学

Q ハリの適応症には、どのような病気があるのですか?

日ごろ、病名のつけようのない体調不良に苦しんでおられる方へ

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はりは3000年の歴史

Q1 鍼はいつ頃、誰が、どこで始められたのでしようか?

A . いつ、だれが始めたというような、はっきりしたものではありません。だれでも体の調子が悪いと、自然と皮膚をさすったり、たたいたり、押さえたりします。
そのようなところから、ハリの治療は自然に発生し、発達してきたものです。
古代からどこの地域においても行われていたと思われますが、はっきりした形として確立されたのは、中国の黄河の流域でした。黄河の源流は崑崙(こんろん)山脈にあり、ここで、きれいな石が採れ、磨いてハリに用いたことが記録に残っています。その後、精錬技術が発達し、金属を素材にするようになりました。
紀元前1000 年頃から段々 盛んになり、あちこちでハリ治療が行われるようになってきましたが、紀元前200年代、漢の時代に多くの学者の学説を集大成し、「黄帝内経」(こうていだいきょう)という医学書が編纂されました。これは世界最古の医学書で、漢方医療のバィプルとして今も用いられています。
それが東洋医学の原点となり、現在に至っています。日本のハリも最初は中国から学んできたのです。

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Q2 日本にハリが伝わったのはいつころでしようか。そしてどのような経過をたどって現在に至っているのでしようか?

A .日本に、ハリが伝来した時期には、いくつか説がありますが、仏教とともに紀元500 年代に入ってきたという説が有力です。
その後、遣随使が中国医学を修得し、日本に持ち帰りました。以来、日本独自の方式に発展し、次々 と名医が出現し、色々な流派も生まれ、現在まで引き継がれています。
鍼は灸や湯薬とともに中国の漢の時代に確立した医学ですので、漢方医学、東洋医学とも呼ばれています。

明治に入り、西洋医学の勢力が強くなって、結局、明治28年、国会において西洋医学が医学としての地位を獲得し、それまで医療の主流であった東洋医学は医学としての地位を失い、「医療類似行為」としての道を歩むことになったのです。
次に大きい出来事としては、第二次世界大戦に敗れ、「廃止するように」ということになったのですが、視覚障害者団体やハリの業界、民衆等の必死の運動により、やっとのところで存続することになりました。
それが今日、ハリを廃止させようとしたアメリカでも認知され、ほとんどの地域で取り入れられています。
今、鍼は最新の医療として世界各国に広がりつつあります。

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Q3. ハリは「痛い」というイメージがありますが、痛くないのでしようか。肝炎やエイズなど感染症の心配は?

A .治療に使用する鍼は、とても細くてやわらかく、表面も滑らかで、ハリ先の角度も体になじみやすいもので、痛くないように作られています。
しかし、生体は皮膚で包まれ、皮膚には知覚神経が網の目のように巡っています。生体は異物を拒否しようとします。ハリは生体に対し異物です。知覚神経を刺激しますと、痛くてハリを刺入することができません。真っすぐ知覚神経の網の目をくぐるように刺人いたしますと、全く痛くありません。
特に私たちの方式は、力で刺し込むようにするのではなく、生体の反応を診ながら沈めるように刺人いたします。無理なやり方を致しませんので痛くありません。
ハリは使い捨てで、一度使ったハリを次の人に使うことはありません。
新しいハリを十分消毒して使用いたしますので肝炎やエィズその他の感染症の心配はありません。

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Q4 ハリの合う人と、合わない人があるとよく聞きますが、そのようなことがあるのでしようか?

A .人の体質はみんな違います。病気も様々です。その人の体質、病気に対して最も適切な方法をとることが大切で、それを、うまくやれば合わない人はないのです。
患者さんの方からハリに合わせてくれません。その人の体質、病気に対し、最も適した方法をとるのは、治療をする者の責任です。早く良くなる病気、ある程度の日にちを要する病気など格差はありますが、それなりに最も良い方法を行っています。

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鍼科学は実証科学

Q5 ハリの治療院によって治療法が違うように思いますが、色々な方式や流派のようなものがあるのでしようか?

A .東洋医学は、陰陽五行論という古代の中国の空想哲学を基本にしています。
これに経験の積み重ねによって経絡経穴、すなわちツボという形式を作っています。そのツボを組み合わせ、刺激し、全身のアンバランスを整えて治そうという方法です。
これに対し、現代医学は実証科学に基づき微細なところまで研究、解明され、基礎医学は完壁に近いのですが、分析的で、臨床においても専門分野に細分化され、病名治療になっているため、全身をひとつのものとしてみる場合、一貫性がありません。どちらも長所と短所があります。
このような流れから、ハリ治療も色々な考えに分かれ、様々な流派ができています。
二千年以上前の古典を、そのまま忠実に取り入れようとする流派。
現代医学を基本にした流派。現代医学と古典を混合した流派などがあり、それぞれの中にもたくさんの流派があって方式も違います。
私たちの流派は、東京にある、信愛福祉協会で考案された「鍼科学」(平方鍼法・新しいハリ)といいます。

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弱いはり、強いはりを使い分け

Q6. ハリ科学は従来のハリをどのように改良し、どんな特徴を持っているのでしょうか。

A.陰陽五行論は過去の理論で、ハリ科学はその古い理論やツボを捨て去り、実証科学を基本にしています。しかし、東洋医学の基本である「全体をひとつのものとして観察する」ということには変わりありません。科学に基づいて、病気を観察し、診察の仕方やハリの仕方も合理的に科学に合ったものに改良しています。
現代人にも受け入れられるよう、ハリ科学は従来の刺し方を改良しました。痛くなく、気持ち良く、効果の顕著なことが特徴です。従来からハリは、刺激療法として考えられてきましたが、ハリ科学ではそれ以外にハリを外科療法として考えています。外科ですとメスで悪いところを切り取りますが、ハリ科学ではハリの物理的作用によって病変を変化させ、正常な状態に変えるのです。すなわち、傷をつけず、血を出さずに病変を取り去る小外科療法だと考えています。
しかも、ハリはどの場所にでも、どの深さにでもハリ先を到達させることができます。これはハリだけが持つ大きな特徴です。
また「急性炎症(打撲、捻挫、胃や腸の使い過ぎによる炎症)にはハリが効かない」、「ハリをするとむしろ悪くする」というのが従来からの考えでしたが、ハリ科学ではそれを改良し、急性炎症を安全に治すことができるようになりました。
反面、石のように固まりついたカチカチの組織をほぐし、柔らかく若返らせ、正常な状態に戻す方法も考案しています。
従って、「弱い静かなハリ」から、「固いしこりを取る強いハリ」まで広い適用範囲を持っているのもハリ科学の特徴です。
ハリは手の感触を利用した仕事です。ちょっとした体の変化を触覚によって見つけ、ハリで取り去るのです。ハリはハリ先で内部を観察しながら悪いところを見つけ、ハリの操作によって正常な状態に変化させ、それをハリ先を通して指の触覚で確認し、効果を確信することができるのです。触覚を重視し、訓練を積み重ね、診察とハリの治療を行っているのがハリ科学です。

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Q7 ハリはどのようなメカ二ズムによって効果が現れるのですか?

A . 鍼をいたしますと、皮膚、皮下組織、筋膜、筋肉と入っていきます。その中には血管や神経、リンパ管、リンパ節、結合組織などあらゆる組織が含まれています。ハリはそのすべての組織に影響を与えます。一局所に与えた刺激は、その場所だけでなく反射的に中枢や内臓など遠隔部にも伝わります。つまりハリの効果は複合作用です。その中でも私たちは、体液循環を最重要視しております。体液とは全身の組織を満たしている液体のことで、これによって全身に栄養を供給し、老廃物を排池し生命の維持活動に関与しています。きれいな血液すなわち動脈血は心臓から動脈管を通って毛細血管に行き、そこから栄養を含んだ液体が組織に露出し、それを取り込んで細胞は生きています。細胞は新陳代謝によって老廃物を排世し、老廃物を含んだ液体は静脈系とリンパ系に吸収されて排出されていきます。リンパ系も最後に静脈系に合流します。動脈系が上水道、静脈系・リンパ系が下水道のようなものです。同じ下水道でも比較的汚れの少ない雨水を集める道と、汚水を集める道とがありますが、汚水はいったん処理場を通ってから雨水と合流します。体の中でこの汚水を集め、処理する役割を担っているのがリンパ系です。
ところが何らかの原因でリンパ系の吸収力が悪くなりますと、組織に老廃物が蓄積することになります。下水溝が詰まって汚水があふれるようなものです。この場合、ハリをいたしますとリンパ管の吸収路が開き、組織に溜まっていた老廃物が排世されます。
水分は上流から下流、圧の高い方から低い方へと流れます。下水の詰まりが取れ、汚水が排出されますと組織の圧が下がり、上流から新鮮な液体が流れ込みやすくなります。体液循環が順調に働いていれば、健康を維持することができるのです。
ほとんどの病気は体液の循環障害を起こしています。ハリはそれを解消し正常な組織に戻します。

私たちは、以前より体液循環障害を取るためにも、炎症をよくするためにも、リンパ系に対するハリを重視してきましたが、医学の進歩に伴い、さらに広い働きを持っていることが分かってきました。免疫機能の中心はリンパ球で、リンパ球は、身体に加えられるあらゆる情報をます察知して外敵を防ぎ、コントロールする働きをしています。
その中でも、異物の侵入時に、最初に活躍するリンパ球が、NK(ナチュラルキラー)細胞です。リンパ球の中でいちばん数が多く、体調が低下したり、強度のストレスを受けたりしますと、このNK細胞が減少します。
ハリは、リンパ系の機能を高め、NK細胞を増やし、免疫力を高める効用があります。
また、体の内外の変化に対応し、全身の機能をコントロールしているのは自律神経とホルモン系です。自律神経やホルモンのバランスの崩れによって、それぞれに支配されている内臓や器官も機能障害を起こしてきます。
ハリは、自律神経やホルモンのアンバランスを整え、循環をよい方向へ向けるように働きます。
ハリそのものには、病気を治す力はありません。しかし、体に刺激を与え、反応を起こさせることによって、効果を上げることができます。体は常に体調を正常に保とうとする働きと内と外の刺激に対して適応する力があります。ハリは、体が本来持っている力をを引き出し、正常な方向に向けるよう助けるのです。

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Q ハリの適応症には、どのような病気があるのですか?

A .ハリ科学は、広い適応範囲を持っています。その中でも日ごろよくお見かけする病気をご紹介しましょう。

自律神経失調症
 多汗症 冷え症

ホルモン及び新陳代謝疾患
 糖尿病 痛風 肥満症 更年期障害

ホルモン及び新陳代謝疾患
 痛風 肥満症 更年期障害

心の病気
 頭痛 偏頭痛 不眠症

筋肉・関節・運動器の病気
 肩こり 腰痛 関節炎(ねんざ、打撲、骨折の後遺症)けいれん

耳・鼻・口腔の病気
 メ二エル病 めまい 耳鳴り 難聴
 外耳炎 中耳炎 口内炎 鼻炎 副鼻腔炎 歯痛

目の病気
 結膜炎 角膜炎 網膜炎 白内障の予防

呼吸器の病気
 扁桃腺炎 喉頭炎 咽頭炎
 急性、慢性の気管支炎
 アレルギー及び、自己免疫疾患(慢性関節リウマチ) 花粉症
 アトピー皮膚炎 じんましん 気管支ぜんそく

心臓及び、循環器の病気
 狭心症 動悸
 動脈硬化症、高血圧、低血圧
 息切れ 不整脈 心臓及び、循環器の病気の一部のもの

消化器の病気
 胃炎 胃下垂 胃及び十二指腸潰瘍(かいよう)

泌尿器の病気
 腎う炎 腎臓炎 尿道炎 前立腺炎

婦人科の病気
 生理痛
(妊娠中に起こった不眠、かぜ、その他の病気にはハリは副作用がなく胎児のためにもよいものです。 特につわりには効き目が分かりやすくお勧めします)。

小児のハリ
 夜泣き 夜尿症 下痢 便秘 かぜ 食欲不振 虚弱 ひきつけ
 その他の小児の疾患にはハリが大変よく効きます。小さいころは反射作用が強く、皮膚の知覚神経を軽く刺激するだけで、アンバランスを起こしていた体の機能が整い、調節され正常な機能に戻ります。生後すぐの乳児から安全に治療することができ、全く副作用はありません。病気の治療はもちろん、予防や健康の保持増進のために有効です。

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日ごろ、病名のつけようのない体調不良に苦しんでおられる方へ

体調が悪いにもかかわらず、検査の網にもかからす、病名も付かず治療法もなく困っている人によく遭遇します。
しかし、私たちの診察ではよく把握することができます。必ず触れると異常があり、それをハリで取り去ることによって、よくすることができます。難病で、なにをしても治しようがないと半ばあきらめていた病気がハリで案外簡単に良くなって感謝され、ともに喜び合うことがあります。
ただし、ハリの効果に付きましては病気の性質、重さ、年数、栄養状態、体力、年齢など色々な条件があり、病名だけで説明することができません。あまり衰弱しすぎますと、ハリに対する反応も鈍くなり、効果も期待できなくなります。できるだけ早く軽いうちに治療を始めることをお勧めします。
常に明るく前向きにプラス志向で生きることは、効果を高めるためにも必要です。
詳細に付きましてはお気軽にご質問、ご相談下さい。

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